旬の特集
文書作成日:2013/3/28



 厚生労働省では、産業構造の変化や労働者の取り巻く社会情勢の変化に対応し、労働者の安全と健康を確保するために、5年ごとの労働災害防止計画を策定しています。先日、平成25年度から平成29年度までを計画期間とする「第12次労働災害防止計画」が発表されました。そこで、今回の旬の特集では、この第12次労働災害防止計画の概要について取り上げましょう。

T.第12次労働災害防止計画の全体目標
 第12次労働災害防止計画では、具体的に計画の数値目標を示し、達成することを目標に掲げています。具体的な数値は以下のようになっています。
・平成24年と比較して、平成29年までに労働災害による死亡者の数を15%以上減少させる。
・平成24年と比較して、平成29年までに労働災害による休業4日以上の死傷者の数を15%以上減少させる。

U.第12次労働災害防止計画の3つのポイント

 主なポイントとして以下の3つ(1.重点対策ごとに数値目標を設定、2.第三次産業対策を最重点業種に位置づけ、3.死亡災害に対し重点を絞った取組の実施)が挙げられています。

1.重点対策ごとに数値目標を設定
 労働災害全体の減少目標に加え、第12次労働災害防止計画では重点対策ごとに数値目標を設定し、達成状況を踏まえて対策を行うとしています。この数値目標には重点業種と重点疾病があります。

@重点業種ごとの数値目標
 重点業種については、第三次産業、陸上貨物運送事業、建設業、製造業が挙げられており、具体的には平成24年と比較して平成29年までに以下の目標を達成することとその施策が示されています。

・第三次産業対策
第三次産業の中で特に、小売業、社会福祉施設、飲食店において労働災害が増えていることから、それぞれ以下の数値目標が示されています。

1)小売業

【目標】
労働災害による休業4日以上の死傷者の数を20%以上減少させる。
【講ずべき施策】
大規模店舗・多店舗展開企業を重点とした労働災害防止意識の向上
バックヤードを中心とした作業場の安全化

2)社会福祉施設(介護施設)

【目標】
労働災害による休業4日以上の死傷者の数を10%以上減少させる。
※この目標は、雇用者数に増減がないと仮定した場合には、25%以上の減少に相当
【講ずべき施策】
安全衛生教育の徹底、4S(整理、整頓、清掃、清潔)の徹底による転倒災害等の防止、介護機器の導入による腰痛予防、腰痛の健康診断の普及・徹底等

3)飲食店

【目標】
労働災害による休業4日以上の死傷者の数を20%以上減少させる。
【講ずべき施策】
転倒災害と切れ・こすれ災害の防止を重点として、労働災害防止活動の取組事例の収集、安全衛生対策マニュアル等の作成

・陸上貨物運送事業対策

【目標】
労働災害による休業4日以上の死傷者の数を10%以上減少させる。
【講ずべき施策】
荷役作業の労働災害防止対策の普及・徹底等
トラック運転者に対する安全衛生教育の強化
荷主による取組の強化

・建設業対策

【目標】
労働災害による死亡者の数を20%以上減少させる。
【講ずべき施策】
墜落・転落災害防止対策
震災の影響による全国的な人材不足等の状況を踏まえた対策
解体工事対策
自然災害の復旧・復興工事対策

・製造業対策

【目標】
労働災害による死亡者の数を5%以上減少させる。
【講ずべき施策】
機械災害防止対策の推進
労働災害防止団体と連携した取組

A重点疾病ごとの数値目標
 重点疾病については、近年職場の問題として取組が求められているメンタルヘルス対策や過重労働対策等において、以下の数値目標と施策が示されています.

・メンタルヘルス対策

【目標】
平成29年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする。
【講ずべき施策】
メンタルヘルス不調予防のための職場改善の取組
ストレスへの気づきと対応の促進
取組方策の分からない事業場への支援
職場復帰対策の促進

・過重労働対策

【目標】
平成23年と比較して平成29年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を30%以上減少させる。
【講ずべき施策】
健康管理の徹底による労働者の健康障害リスクの低減
働き方・休み方の見直しの推進

・化学物質による健康障害防止対策

【目標】
平成29年までにGHS分類において危険有害性を有する全ての化学物質について、危険有害性の表示と安全データシート(SDS)の交付を行っている化学物質製造者の割合を80%以上とする。
【講ずべき施策】
発がん性に着目した化学物質規制の加速
リスクアセスメントの促進と危険有害性情報の適切な伝達・提供
作業環境管理の徹底と改善

・腰痛・熱中症予防対策

【腰痛:目標】
平成24年と比較して平成29年までに社会福祉施設の腰痛を含む労働災害による休業4日以上の死傷者の数を10%以上減少させる。
【講ずべき施策】
腰痛予防教育の強化
介護労働者の腰痛予防手法・教育の普及
重量物取扱い業務に対する規制の導入

【熱中症:目標】
平成20年から平成24年までの5年間と比較して、平成25年から平成29年までの5年間の職場での熱中症による休業4日以上の死傷者の数(各期間中(5年間)の合計値)を20%以上減少させる。
【講ずべき施策】
屋外作業に対する規制の導入
熱中症対策製品の客観的評価基準の策定

・受動喫煙防止対策

【目標】
平成29年までに職場で受動喫煙を受けている労働者の割合を15%以下とする。
【講ずべき施策】
受動喫煙の健康への有害性に関する理解を図るための教育啓発等による受動喫煙防止対策の普及・促進
禁煙、空間分煙、その他飲食店での換気等による受動喫煙防止対策の強化

2.第三次産業対策を最重点業種に位置づけ
 労働災害が増加し全体に占める割合が高まっている第三次産業に焦点を当て、厚生労働省は特に災害の多い「小売業」、「社会福祉施設」、「飲食店」に対する集中的取組を実施するとしています。これらについては上記@で数値目標が示されており、安全衛生管理の強化が行われることになっています。

3.死亡災害に対し重点を絞った取組の実施
 依然として死亡災害の半数以上を占める建設業、製造業に対し、厚生労働省は「墜落・転落災害」「機械によるはさまれ・巻き込まれ災害」に重点を当てて取り組むとしています。これらについては上記@で数値目標が示されており、様々な取組の実施が予定されています。

 来年度よりこれらの内容に基づいた様々な取組が行われると予想されます。そのため、企業においてはこれらの内容を踏まえた上で労働災害の防止に積極的に取り組んでいくことが求められます。

■参考リンク
厚生労働省「第12次労働災害防止計画について」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei21/


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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